HT81Sに対する所感

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写真は筑波サーキット コース1000での走行時

モータースポーツでの活躍

世界ラリー選手権

上記はスイフト(欧州ではイグニス)のWRCカーである。 スズキは2002年から2003年までHT81Sをベース車として、 WRCの下位クラスであるJWRC(グループA・クラス6、スーパー1600)に参戦。 エンジンは1.6L化され、最大216馬力を発揮した。 なお、ボアストロークは81.0×77.5mmとなっており、現在のM16Aとは異なる専用仕様であったようである。

ローカルラリー

上記の市販車(欧州左ハンドル仕様)である。市販車をベースにラリー車を作っているため、ぱっと見た印象は同一だ。

全日本ダートトライアル選手権

今となってはあまり知られていないのであるが、HT81Sがデビューした2003年の全日本ダートラでの活躍は素晴らしかった。 なんと、8戦全勝、7戦で1-2フィニッシュを飾るという圧倒的な勝利であった。 ただし、車両は4ドアタイプのスイフトSE-Zがベースであったようである。

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2004年より、車両はHT81Sベースの2ドアタイプとなった。 専用1.5Lエンジンの出力はターボチャージャーによる過給で313PSに到達している。

スペック

スペックについてはgreeco channelと言うWEBサイトの情報 (http://greeco-channel.com/car/suzuki/swift/)が 非常に有用であるので、こちらを一読することをお勧めする。

外装


画像はwww.carview.co.jpより転載

知らない人が見れば、「小さくてカワイイ車」である。 ラリーのイメージが強い私にとっては「コンパクトなラリー車」である。

内装

軽自動車をベースとしていることもあり、非常に質素である。 良く言えば、機能的でシンプル。悪く言えば、チープである。 が、質感がプラスティッキー丸出しと言うわけでもなく、 手が触れる部分には本革かファブリックが用いられている。

シート

シートはRECAROの文字が誇らしげであるが、所謂"RECAROチューン"であり、ベースやシートバックは全て国産であると思われる。 通常RECAROは無段階式のシートバック調整機構などを持っているのであるが、この車のシートは通常のスズキ車と何ら変わらない。 しかし、各部サポートの硬度等はRECAROっぽいものあり、なかなか十分なものであると感じる。 私は体重60kg以下のSサイズ人間なのであるが、このシートでも少し大きい。サイドサポートの幅を詰めたいと感じる。

居住性

二人で乗る場合は特に問題なし。ただし、大柄な男二人だと助手席乗員の膝がシフトレバーを持つドライバの手に接触してしまうことがある。 4名乗車した場合でも、乗ってしまえば大して問題はないが、いちいちフロント側のシートをスライドさせての乗り降りが非常に面倒。 やはり、二名乗車が基本になる車だと感じる。

ボディ

軽量コンパクトがもたらす機敏性

この車の最大の美点がボディのコンパクトさと軽量さである。カタログ値だと930kgしかない。 いまどきの軽自動車でも900kg前後の重量はあるので、この軽量さがもたらす機敏性は素晴らしい。 この車に乗った後に欧州車(特にVWのポロなど)に乗ってみるとその重さを顕著に感じてしまう。 また、余裕で5ナンバーサイズに収まるボディのお陰で住宅街や市街地の運転が至極楽である。 街中でもスポーツ感を味わえる数少ない車種であると感じる。

車体剛性

WEB上での記載で「ボディ剛性が低い」ことがよく語れている。 しかしながら公道での速度域では、ボディ剛性が問題と感じることはほぼ無い。 むしろ軽量であることの利点の方が運転感覚に高く寄与してる。 ただ、ボディ剛性が低いというのは事実でメーター読みで150km/hを超えてくると、フロントの接地感が段々と薄れ、恐怖感が高まってくる。 また、その速度域からのブレーキングはかなり不安定感を伴う。 BNR32型の日産スカイラインに試乗したことがあるが、200km/hを超えても矢のような直進安定性とがっしりとしたブレーキ安定性に驚いた記憶がある。 (昭和の終わり車なのに、こんなにがっしりとしたボディを持っているのか?!と・・・)

車両運動性能

スポーツ走行
動画は筑波サーキット コース1000での走行時

FF車の性であるが、前後重量比が66:33となっており圧倒的に前が重い。 そのため、リアの接地感が薄い。 また、車高、乗車ポジション、ロールセンター高の全てが高く旋回中の張り付き感が少ない。 結果、ショートサーキットでは内輪が浮き空転してしまうことで駆動力がゼロとなってしまうことがある。 特に旋回中に加速しようとするとこの現象が現れ旋回力が失われることで、いわゆる”アンダーステア”な状態となってしまう。 よって旋回ではやや速度過多の状態からブレーキを踏みながらか、 シフトダウンしてエンジンブレーキを使って前かがみみになるような姿勢のままクリッピングポイントの先まで行き、 できる限り直進状態に近づいてから加速に入った方がタイムが短くなるようである。

一方、車重が軽いことで、ゼロ加速は鋭い。 また、4輪ディスクブレーキは至極十分な減速を与えることが可能(少々過剰と感じる)。 総括するに、軽くて加減速はそれなりに良いが、旋回性能は実用車のレベルである。 サーキットではノーマルのFIT RSとイイ勝負、マーチ12SRには少々及ばない。

最小回転半径

この車の最小回転半径は5.3mあり、ZC31,ZC32などスイフトの値(5.2m)よりも大きい。 軽自動車のそれが4.5m前後であることと比較すると小回りの効かない車である。 軽自動車のプラットフォームに185mmサイズのタイヤをはかせ、オーバーフェンダ(モドキ)を付けているため 致し方ない設計か・・・。ちなみに5.3mはBMWの3シリーズと同じ値である。

エンジン

エンジンについては別項に編集した。

燃費と航続距離

特に燃費走行を心がけるようなことはしていないが、軽量な車体により燃費は良好である。

私の利用状況では、市街地走行で12~14km/L高速道路走行14.7km/L、 郊外を法定速度で巡航するような場合は16km/L以上の燃費となることもある。 サーキット走行では約4~5km/Lであった(TSUKUBAコース1000の場合)。

HT81Sの燃料タンク容量は41Lであり、燃費ごとの航続可能距離は表の通りとなる。 長距離ツーリングの場合は最低15km/Lは走ると考え、600Km強で給油するようにしている。

燃費情報についてはメンテナンスの項も参照。

耐久性

2016年1月追記

11年10万キロを超えたことで、そろそろ耐久性を評価可能な時期ではないかと思う。 率直に言って、「素晴らしい耐久性と運用コスト」である。 タイヤや油脂類の定期交換以外では、バッテリ交換1回、FRブレーキパッド交換、サスアームのボールジョイントブーツ交換くらいしかしていない。 ステアリングコラムのジョイントを交換しているが、実際は交換せずとも我慢可能なものである。 やはり国産車の耐久性は素晴らしい


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