2ストロークレーサーレプリカに乗るということ

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2スト車に乗ると言うこと

2013年現在、2ストロークエンジン搭載車は殆ど新規販売されていない。 過去の排気ガス規制に適合出来ず、メーカーはその開発を放棄したからである。 確かに、モウモウと白煙とオイルを撒き散らしながら走る2ストローク車は時代錯誤と考えられて然りである。

しかし、80年代にヤマハRZから始まった2ストロークロードスポーツ車の開発競争は日本のバイク史に残るものであると思う。 バイク雑誌では常に性能比較の記事が書かれ、速く走れる事がセールスポイントであった。 幼少からバイクに興味を持っていた私にとっては2スト車=高性能車=憧れの存在なのである。 だから、今こうして維持に苦心しながらも2スト車に乗っていることに満足しているし、それが楽しみの一つなのである。

2スト車の美点

2スト車の良いところを尋ねられた次の点を答えたい。
  • 走行性能が高いことがコンセプトである車両であること。 同じ排気量であれば、これらを超える車両は21世のラインナップには見当たらない。 つまり、同様のコンセプトを持った車両は以後現れていないのである。
  • あまり走っていない=今やマイノリティー的存在であり, 人と違う事を良しと感じる人々にとっては喜びの源である。

2スト車の維持

ハッキリ言って、維持にかなりの情熱(つまり時間かお金)が必要である。 さらに、2ストロークの構造とウィークポイントを理解していなければいけない。 21世紀の4スト車両のようには維持できないと思う。 2ストロークエンジンはそもそも出力重視であって、4ストエンジンに比べ耐久性は確実に低い。

  • オイルで強制潤滑されていないのでクランクベアリングの寿命やピストンリングの寿命が短い。
  • 穴だらけのシリンダなのでピストンリングの寿命が短くガス抜けでクランクケース内が汚れる。
  • ピストントップは4ストローク車よりも高熱となり、セッティング乱れるとデトネーションや融着が起こる。
  • 掃気による新気の吹き抜けがあり燃費が悪い。
  • 排気タイミングをコントロールするための複雑なデバイスが付いており、これらの故障頻度が高い。
しかし恐れる必要はない。お金に余裕がある方は、2スト車の整備で実績があるお店に小まめに見てもらっておけば大丈夫である。 そのようなプロショップはウィークポイントを理解して重点的に整備してくれるはずだ。 だから、プロの助言に従えば大抵安心である。 ただし、コストに糸目をつけてはいけない。 ダメな部分はダメである事を理解し、受け入れなければいけない。 コストに余裕がないからと言って放置すれば、焼き付き等の重大トラブルを引き起こし結局修復できず廃車なんてことになりかねない。

では、お金がない人は乗れないのかと言われればそんなことは無い。 時間をかけて構造を勉強、理解し、維持に必要な情報を集めれば良いのである。 インターネットを検索すれば先人たちのトラブルに対する知恵を拝借できる。 実際は、お金に余裕があったとしても自らの時間を使い、自らの手で維持管理している人は大勢いる。 逆にプロよりも精通しているなんてことはざらである(と私は感じている)。

長々と述べたが、結局は自分の好きな、乗りたい車両に乗ることが幸せなのであり、そのために時間を使うことが楽しいだけの事である。 情熱があれば、何事も苦にならないということ。

2013.06.21記

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