2011年2月9日午後 天候:雪 福島県会津若松市河東町 切立橋(きったてばし)はボーストリング・ワーレントラス橋と呼ばれる形式の橋である。 1890年(明治23年)にドイツのハーコート社(現在のDemag Cranes AG)によって製造され、日本には11基が輸入されている。 トラスはリベットで接合されているが、プレハブ方式により現地でボルト留めすることで 設置できるようになっている。当時の途上国向けに設計されていることがうかがい知れる。 現存するもう1基は栃木県の足尾銅山に設置された 古河橋である。 そちらは移設されることもなく当時と変わらぬ場所に歩道橋として保存されている。 もともとは当時の九州鉄道が矢部川に架けたものであるが、 大正時代に入り列車が大型化すると設計荷重を超過する恐れが出たため、撤去される。 その後、当時の猪苗代水力電気(東京電燈の全身で今の東京電力)によって 猪苗代第四発電所の建設のための専用軌道用に現在の日橋川に架けられる。 この移設は、猪苗代水力電気の社長が九州鉄道の元社長をであったことから実現したらしい。 発電所完成後は保守点検用の道路橋に転用され、 発電所が無人化された現在は一般道の橋として開放されている。 ただし、現在も東京電力が維持管理をおこなっている。 この橋はもともと鉄道橋として輸入されたことは述べたが、 「土木図書館・デジタルアーカイブス」内 「土木建築工事画報」第2巻5号(大正15年発行)によると 『工事用材料運搬の為め、 磐越西線大寺駅より第三発電所迄延長3.4哩(大寺専用鉄道)、 及び同線広田駅より第四発電所迄3.0哩(広田専用鉄道) 何れも二十五封度軌条を以て、軌間二尺六寸の専用軌道を布設し、 電気機関車を運転せしむ』とある。 現在の磐越西線まで軌道が敷かれていたようである。 福島民報新聞 朝刊 2011年2月7日号 P.3 |